谷本 心 in せろ部屋

はてなダイアリーから引っ越してきました

IP電話アプリのバッテリー消費を調べてみた(結果編)

最近、050plusやSkypeなどのIP電話VoIP)アプリに注目してまして。


常用するならバッテリー消費(待ち受け時間)が気になるところですが、
あちこちのサイトで調べてみると、メリットや機能比較なんかは見つかるものの、
バッテリー消費については「××はアプリが常時起動してるからバッテリー消費が大きい」みたいな、
どういう根拠で言ってんだよ的な情報が多く、ハッキリしません。


「情報がないなら、自分で調べればいいのよ」


というわけで、自分のAndroid端末を使って各IP電話アプリの待ち受け時間を調べてみました。
測定方法は超原始的、
バッテリーを満充電にした状態から、待ち受けにしたまま、電池がなくなるまでの時間を計測しました。


詳しい測定条件なんかは後回しにして、まずは結果から見ていきしましょう。

測定対象

端末 Xperia Pro (旧Sony Ericsson)
OS Android 2.3.4 / 4.0.4
SIM NTT docomo (Xi契約、mopera U
アプリ Skype、050plus、Viber、LINE、Android標準SIPアプリ


Android標準SIPアプリは、Android 2.3以降で使えるようになった標準のSIPアプリのことで、
今回はFusion IP-Phone Smartを契約して利用してみました。
http://www.fusioncom.co.jp/kojin/smart/


IP-Phone Smartを導入しようと思ったのが、Android 4.0.4にアップデートした後だったので、
Android 4.0.4でのみ測定しました。

比較結果

Android 2.3.4

アプリなし 52:05
Skype 40:08
050plus 11:10
Viber 28:00
LINE 42:17
標準SIPアプリ 未計測


Android 4.0.4

アプリなし 52:21
Skype 35:46
050plus 10:06
Viber 30:57
LINE 43:18
標準SIPアプリ 22:30
LINEがベストで、050plusの5倍前後!

待ち受け時間だけで見れば、LINEがベスト、それにSkypeが続きます。
LINEは私も普段チャットアプリとして常用していますが、確かにあまりバッテリー消費が大きい印象はありません。


一方で待ち受け時間が極端に短かったのが050plus。
体感でもバッテリー消費が早いとは思っていましたが、予想以上に差がつきました。
ただ、もしかすると、Xperia Proは050plusに正式対応していないせいで、消費電力が多いのかも知れません。


タイミングが良い(悪い?)事に、本日リリースされた最新版ではバッテリー時間が大幅に改善したそうです。

同社では「全ての機種で確認したわけではないが、機種によって改善の度合いは異なる。たとえばiPhone 4Sや、auIS03は約2倍で、NTTドコモGALAXY Sは約4倍になる」と説明。2倍という表現は、同社が検証した中で、最も低い数値にあわせたものとのこと。

NTT Comの「050 plus」、バッテリー消費を改善 - ケータイ Watch

これは、ちょっと再計測してみなければいけませんね。
また日を改めて、計測結果を掲載しようと思います。

GingerbreadとICSでは差がない。

バッテリー消費にどんな差が出るのかと期待していたAndroid 2.3から4.0へのバージョンアップですが、
結果は全く変わらず、つまらない結果になってしまいました。

Android標準のSIPアプリはパッとしない。

OS標準で組み込まれているから消費電力なんかも小さいんじゃないか、と期待していた
Android標準のSIPアプリですが、結果、050plusよりは多少マシという程度。


ネットで調べてみたら、IP-Phone Smartを使う人などは
たいてい他の(より消費電力の少ない)SIPアプリを使うことが多いようです。

まとめ

LINE > Skype > Viber >> (24時間越えの壁) >> OS標準のSIPアプリ >> (12時間越えの壁) >> 050plus


この結果から見れば、使い物になるのはViberまでですね。
ただ、バッテリー消費の少ないSIPアプリや、最新版の050plusを使えば
待受時間が延びるのは確実でしょうから、次回はその辺りも交えて計測しようと思います。


そんなわけで、次回のレポートも楽しみにしてください!

IP電話アプリのバッテリー消費を調べてみた(計測方法編)

せっかくなので、計測方法や背景なども掲載しておきます。

測定対象の端末

端末は、Sony EricssonXperia Pro(MK16a)です。
日本で手に入れにくい端末なのですが、
 1) キャリア特有のアプリがあまり入ってない(メーカー特有アプリは多めなんですが・・・)
 2) Android4.0にアップグレードできるので、Android2.3と4.0の消費電力を比較できる
という理由で、この端末をターゲットにしました。


OSはAndroid 2.3.4と4.0.4の2種類。
Androidのバージョンが上がる事で、消費電力が変わるかどうかに注目しました。


また、通信に使うSIMはdocomoのXi契約で、プロバイダはmopera Uを利用しました。
Xperia Pro自体はXiには非対応ですが、3G通信は問題なく行なえます。
なお、データ専用プランではなく、通話も可能な通常プランにしています。

測定対象のアプリ

VoIPアプリは、普通に日本で使えるもので、そこそこメジャーなものだけを対象にしました。
ooVooやGoogle Voiceも候補に挙げていたのですが、今回はインストールできなかったため諦めました。


アプリのバージョンによっては消費電力が異なる場合もあるでしょうから
あくまで「2012年の初夏」の情報だと捉えてください。

測定方法

測定の前準備として、以下の作業を行いました。
 1) 端末を初期化する
 2) 同期や自動アップデートはすべてOFFにする
 3) 可能な限りプリインストールアプリは削除する(root化しなくても削除できるもののみ)
 4) 残ったプリインストールアプリは先に最新版にアップデートしておく
 5) バッテリーの消費傾向を見るために、Battery Mixをインストールする

また、計測中にできるだけノイズが入らないよう、
 1) テスト対象のVoIPアプリとBattery Mix以外は、アプリをインストールしない
 2) 窓際の決まった場所に置いておき、触らない
 3) Wi-FiはOFFにしておく
 4) 誰にも電話番号を教えない(電話やSMSが来ない)
ようにしました。


さらに、注意した点として
 1) 計測は2回ずつ行なって、その平均値を取る
 2) 極端に結果が異なった場合には計測をやり直す
 3) 計測開始から数時間後に、別の端末から発信して、待ち受けできている事を確認する
ことにしました。
ちなみにいずれのアプリも、待ち受けに失敗したことは一度もありませんでした。


このような環境での計測ですから、
通常の利用に比べてかなりバッテリーが持つ状態になっていると言えるでしょう。

余談

VoIPアプリを常用したい、という想いで行なった今回の計測ですが、いかがだったでしょうか。


「何もアプリを入れなければ丸2日以上バッテリーが持つ」とか「LINEだけなら2日弱持つ」というのは
スマフォに慣れきった人なら、結構持つもんだとか思うかも知れませんが、
いわゆるガラケーPHSでは一週間近くバッテリーが持つことを考えると、
やっぱり「何もしなくても2日でバッテリーが切れる」のは、短すぎますよね。


ecoNetBatteryのような画面OFF時に通信を遮断するアプリを使えば
バッテリーの持ちは数倍になるものの(普通に使っていても2日ぐらいは平気で持ちます)
今度はVoIPアプリでの着信ができなくなってしまいます。


VoIPアプリを普段の電話代わりに使うためには、
何かもっと根本的な解決が必要なのですが、なかなか・・・。